家の疲れは会社でとって、会社の疲れは育児で癒される
講師の仕事だけは例外だが、山本さんは契約社員として、会社経由でイラストの注文を受けている。在宅ワークに切り換えてから、収入は変化したのだろうか。
「出産して1年間の育児休暇が取れるあいだは正社員でいましたが、その後、毎日出勤するのが難しいので、契約社員という形式にしてもらいました。年俸制になったのでお給料はちょっと下がっちゃいました(笑)。でも、それ以外はまったく何も変わらなくて、社会保険も福利厚生も有休もあるんですよ」
会社と良好な信頼関係を築いているため、山本さんが希望するなら「いつでもフルタイム出勤の正社員に復帰していい」とも言われているという。イラストレーターという職種では、フリーランスとして独立して仕事を受けている人も多く、山本さんの将来にはいくつもの道が開けていると言えそうだ。
「独立するにはもっと人脈が必要だと思うんです。自分で営業活動もして、仕事を取ってこないといけない。会社にいるほうが守られていますよね。今はこの状態がベストだと思っています。フルタイムで復職するとすれば、子どもが幼稚園に入ってからだと思うので、まだ先の話ですね」
在宅で働くデメリット、マイナスだと感じることは何かあるのだろうか。
「スランプのときとか、うまくいかなくて落ち込んだとき、会社だと人と話しているだけでなんとなく気がまぎれて発散できるんですね。在宅だとひとりで悶々として、どんどん落ち込んでしまうことがあります。絵の自信がなくなっても、それでも描かなきゃいけない。私の場合は出社したときにわーっと話して、発散するようにしています。育児のもやもやとか家の疲れは会社でとって、会社や仕事の疲れは育児で癒されるというサイクルですね」
仕事を続ける手段としての在宅ワーク
山本さん同様、出産や結婚を機に在宅ワークを希望する女性に、アドバイスをお願いしてみた。
「せっかくずっとやってきた仕事を辞めるのはツライですよね。でも、毎日出勤するのは大変だから辞めたい、となってしまう。家でもできる仕事は家でやるように体制を整えておいて、ダメもとで会社に相談してみるといいんじゃないでしょうか。
ただ、うちの会社のもうひとりのイラストレーターは、家だと仕事モードに切り換えにくいから会社のほうがいい、って言っていたので、在宅ワークにも向き不向きがあるんだと思います。
あと、デザイナーだったら家でもできるかなと思ったんですが、チームでやっている仕事だと難しいみたいですね。だから、家でできる仕事ってそんなに多くはないのかなとも思うんですが」
ひとくちに在宅ワークといっても、内職のような手作業から、翻訳、テープ起こし、校正などのデスクワーク、Webデザイン、地図製作、ネットショップ経営まで、さまざま。IT化が進んで在宅でできる仕事の種類も増えているので、自分の技能を生かして仕事を続けるひとつの手段として考えてみるといいのではないだろうか。
リビングで娘の詩緒里さんとお絵描き。仕事の疲れが癒されるひととき。 趣味で詩緒里さんの似顔絵を描いていたのがクライアントの目にとまり、 新たな仕事が生まれるきっかけにもなった。
|